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『ディア・ウェンディ』

勢いで記事を書く事が多いので、映画の記事となると、
「ネタバレを含んでますので、まだ観てない人は読まないで
下さい」と全然オススメ映画の宣伝(?)にならないので
(私のつたない文章で伝わるかは分かりませんが)、
まだ観てらっしゃらない方にも少しでも興味を持って頂こうと
楽しみを半減すると思われる(ネタバレになる)内容は
「続き(more)」以降に書く事にします。


『ディア・ウェンディ』
アメリカの小さな炭坑街の「負け犬」のような若者が、
ひょんな事から銃を持った事で、自信と楽しみを得ます。
ここで間違っていけないのは、その自信と楽しみと言うのは、
銃を使って人を脅したりするのではなく、
「絶対人は撃たない」という平和主義を掲げ、
使われていない旧炭坑で、同じく「負け犬」とされていた仲間と
ただ銃について研究し、中世ヨーロッパを思わせる服(西部劇とミックス
されていて、かなりかわいい)を着たりして「拳銃ごっこ」をするのです。
趣味を見つけた彼らは、普段冴えなかった生活にも自信が沸いてきます。
ゾンビーズの曲をふんだんに使い、前半は青春映画のようですが…

この映画はPG-12ですので、
勘の鋭い方なら終焉は分かるかもしれません。

映画を観終わった後で知ったのですが、
何と脚本を手掛けたのが『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で
監督を務めたラース・フォン・トリマー!
(“世界的問題児”ってスゴイ褒め言葉?ですね・笑)
でこの作品で監督を務めたのが、同じ《ドグマ95》の
トマス・ヴィンターベア(男前)なのですが、
全く正反対の個性を持つ、デンマーク人の監督2人が
タッグを組む事で、またこの作品のバイタリティというか、
絶妙なリアリティが生まれたんだと思います。

私は銃に焦点を置いた話はあまり興味がありませんが、
主演が『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルという事と、
タイトルに何となく惹かれたんですよね。

公式日本語サイトはこちら



「ウェンディ」と言えば、ピーター・パンに出てくる女の子。
しかしこの映画のウェンディは、銃でした。
ジェイミー・ベル演じる主人公ディックが自分の銃に付けた名前です。
「女が持つような銃だ」と友人スティーヴィーに言われて
付けたんですけど、この時「例えばエリザベス・テイラーって付けたら、
この映画のタイトル『ディア・エリザベス・テイラー』だったのか!?」と
1人でツッコんでましたが、後でジェイミー・ベルの好きな女優が
エリザベス・テイラーって知って、自分でもちょっと不気味になりました…。
(単に豪華そうな名前!と思ったら、これしか浮かばなかっただけなんですけどね)

映画の冒頭は、主人公がこの銃ウェンディに
手紙…ラブレターを書くシーンから始まります…
それが判明するまで、てっきり女の子だとばかり思っていたので、
ちょっと度胆を抜きました。
確かに、私にとって自転車や携帯電話は生活必需品で
(普段手荒に扱ってましたけど)、使えない時は色々と制限が起きて
非常に困まりましたし、不自由さを感じたんですよね。
だから戻ってきた時は「私の愛機ちゃんvヨシヨシ」と思いましたが、
現代日本人の私にとって、銃は日常生活に一切存在しない物ですから
(まぁヤーさんならともかく・笑)、
銃に名前を付けたり、恋人のように思うのって理解不能なんですよね。
女の名前を付けた事で恋人のような想いが芽生えるのですが、
ディックはこの銃の事を「友人」と言ってて、
スティーヴィーやその他の仲間「ダンディーズ」の事は
友人とか言わなかったんですよね…何とも不思議な事に。
ついでに不思議な事に、仲間&紅一点のスーザンに胸を見せられても
恋人同士には発展せず、あくまで恋人はウェンディだったんですよね。

ディックは、賢そうなお顔立ちや控えめな性格からか、
スーパーの店長や街の保安官にも「いい子」扱いをされていました。
あまりストーリー上では重要視されていませんでしたが、
幼い頃に母親を亡くし、成人になる前に父親を亡くし、
住む家には困りませんでしたが、
老いた家政婦も仕事を辞めてしまい、独りぼっちでした。
一見美しい少年の心の奥に秘めた心の闇を感じましたね…。
『ロード・オブ・ザ・リング』で主人公フロド役を演じた
イライジャ・ウッドを思い出しました。

昨日たまたま見たニュース番組でやってましたが、
子供の犯罪、またキレやすい子供が目立つ理由のひとつに
この年代の子供(中学生位)は、周りに自分の力を見せつけたい
年頃なんだと言ってましたが、確かにこの頃って自分も世界が
めちゃくちゃ狭かったですねーもう中学校が世界みたいなもんでした…
と書くと、親がいない子はダメだとか、中学生は皆ヤバいとか
言ってるように思われそうですが、小さい時から広い視野を
持って生まれた子も大勢いるでしょうし、皆が皆そうではないと思います。
ただディックも賢そうに見えて、繊細だと言われてましたし、
そういう儚さは元々あったんだろうと思いました。

というか子供に限らず、銃は人間をダメにすると思います…。
使う人にも寄りますが、その確率の方がずっと高いという事です。
この子達も最初は銃の怖さを知って、平和主義を掲げ、
銃は人に向けないと決めて楽しむだけでしたが、
自分達の意志からではなかったにせよ、最後は結局使う事になるのです…。

ディックの家で家政婦をしていたクララベルの再登場も
ツラかったですね…ディックの事は忘れてましたし。
しかしクララベルといい、スーパーの店長といい、
どうして強盗にあれ程過敏だったんでしょうか。
見る所、小さな街に思えましたし、
あまり犯罪が多そうには思えませんでしたが…。
(って少々過敏になって、警戒しないと
ひったくりや強盗に遭いますよ、日本の皆さま)

片足の不自由なヒューイと、そのせいでイジメられていた弟フレディの
事もサラッと流されていましたが(彼らは終止明るくて)、
日本の映画だったら、ここに重点を置いて感動映画に仕立てあげそうですよね。

あくまでアメリカの話らしいのですが(というのも架空の街なのです)、
北国特有のムードがぷんぷん漂ってましたから、
おそらく舞台に使われたのは北欧(ドイツ?)だと思うのですが…
登場人物も、白人だらけなせいもあったからかもしれません。
クララベルと、その孫のセバスチャン(最初は名前だけで登場)が
黒人なのですが、セバスチャンの登場で、黒人が持つ強烈な強さが
この映画でも問題になります(と言ってもディックにだけ)。
自己防衛の為に人を殺したセバスチャンと、
保安官によって監視役(&友達)にされたディック。
世間的にはセバスチャンは犯罪者、ディックはスーパーの副店長にもなり
優等生扱いでしたが、実は銃の魅力にとりつかれていたのはディックの方。
そしてダンディーズの存在を知り、妙に思い
「君らはイカれてる」と言うセバスチャン。彼の方がまともでした。
保安官がセバスチャンを連れてきて事情を説明した時、
厄介なのが来たなと思いました。ディックを破滅に追い込むだろうと。
しかしダンディーズを紹介したのはディック自身…。
いえ、セバスチャン登場のみで済んでいれば良かったかもしれません…
クララベルが…。しかしあの後でも解消法はあった筈です。

クララベルを助けたい、願いを達成させたいと思っていたかも
しれませんが、死なずに済んだかもしれません…。
誰か「あなた自身が一番大事よ」と言ってくれる人がいたら…
彼らに銃以上に愛する人や物があったら、命の重みを知っていたら、
無駄にしなかったかもしれません。
(日本人の私と、常に危険と隣り合わせのような海外…
特にアメリカとはまた考え方も違うかもしれませんが)
コーヒー豆なんてどーでもいいじゃんと思いましたよ。

ただ勘違いしていけないのは、彼らは命を粗末に扱う子供ではなく、
全く暴力的でも、世間知らずでも、無知でもなかったという事ですね。
私のような平和ボケしてるような輩は、殺人者なんて
人間じゃないと思ってしまいますが、彼らは人間でした…。
でも銃に魅せられてしまった事で、
結局彼らは銃を目覚めさせたかったんだと思いました。
(しっかし、あの保安官の挑発…もとい説得は「殺して〜」って
言ってるようなもんだよね。彼らの愛する銃を貶したんだから)

映画を見てる間中は『ボウリング・フォー・コロンバイン』を
思い出してましたが、こう考えると、
シャーリーズ・セロンの『モンスター』を思い出しますね。
生い立ちと教養がなかった事…環境がモンスターを作ったのだと…
彼女は身体を売って稼ぐしか、生きる術を知らなかったんだと。
悲しい話でした。
『ディア・ウェンディ』の彼らは、身体を売ってませんでしたけど、
小さな街で、「負け犬」とされていました…
若くても、将来の道は決められたようなもので、世界は街の中だけでした。

しかしこのような犯罪や過ちは、境遇関係なく、
誰にでも起こりうるものだと思います。成熟した大人であろうと。

銃に興味を抱いた彼らやラース・フォン・トリマーの事は
残念ながら理解できませんでしたが、
『es』やら、先日のエレグラのクリス・カニンガムやら
色々思い出し、考えさせられた作品でありました。
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by dragons27_mayu | 2005-12-18 05:45 | MOVIE
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